「お久方ぶりです。貴方の心の隣人、ふーぎです。今回の語る内容は、6世紀の朝鮮半島についてです。古墳時代に語った。日本と関係が深かった加耶は、一体どうなってしまうのか。気になりますよね」
「いや、タイトルに滅ぶ、って書いてんじゃん。もう答え明文されてんじゃん! っうか、黒板に冷やし中華始めましたみたいなイラスト載せないで」
「おお、気になるみたいですね」
「相変わらず。人の話全く聞かねぇ」
「さて、以前の回に、朝鮮半島では高句麗(こうくり)、百済(くだら)、新羅(しらぎ)、加耶(かや)が争っていると言いましたよね。あれから幾月の時が流れましたが。互いに攻めきれず。均衡状態が生じます」
「数百年以上も戦い続けてんのか」
「ですが、その膠着は百済の行動によって崩れます。倭と親交があった百済は、倭に対して加耶の割譲を求めたのです」
「ん? どうして加耶の割譲に倭の許可がいんだよ」
「前に語りましたが、加耶には倭の拠点が存在していまして。加耶の実質的支配権は倭が持っていたのです。それ故、百済は倭に対して、加耶割譲の許可を求めたのです」
「ほうほう。で、倭はどう返したんだ。普通断るが」
「倭の有力者も百済の提案に否定的だったのですが。大伴金村(おおとものかねむら)と言う人物が。加耶西方の地を渡すだけで百済が力を付け。宿敵、新羅を打ち倒し。朝鮮半島の均衡を破ることが出来ると、力説し。倭は加耶の割譲を受け入れました。その結果、なんと加耶は……」
「滅亡したんだろう」
「…………なっ」
「なんで、そんな驚いた顔してんの。黒板に冷やし中華パロってる奴がしていい顔じゃないよね!」
「なんと、加耶が滅亡しちゃったんです。あっ、BGM流しますね。映像の○紀の。パリは燃えているか、です。えーっと、レコード何処でしたっけ」
「いや、BGMいいから。っうかなんで滅亡したんだよ? 一部の地域を差し出しただけだろう。まさか、全部取られたってオチじゃねぇよな」
「結果的には全部取られちゃいましたね」
「マジかよ!」
「冷やし中華の割譲が決まると」
「冷やし中華じゃなくて加耶だよね! 黒板に書いたイラストに引っ張られないで!」
「はいはい。加耶の割譲が決まると、相談もなく領土を明け渡すような国(倭)を信用できないとなって。加耶東方の人々は、隣接する東方国家、新羅に領土を明け渡し始めました。それを知った加耶西方の人々は、こぞって隣接する西方国家、百済に領土を明け渡し。その結果、なんと加耶は滅亡しちゃったんです。ちりーん」
「風鈴鳴らさないで! つうかこれって、とんでもねぇ外交失策じゃねぇか!」
「ええ、大失態ですね。この外交失策によって。大伴金村は責任を取らされて没落し。大王(天皇)を補佐する倭の有力豪族は、武の物部(もののべ)氏と、財務の蘇我(そが)氏、祭儀の中臣(なかとみ)氏の三つの勢力に分かれました。……ってな感じで、今回は此処までにしましょうか。次回は蘇我氏の台頭となる。飛鳥な時代です。まったねぇ」