「おっはぴぃ。では、今回は平安時代の政治について語っていきますよぉ。平安時代の要とも言えるお話なので付いてきて下さいね」
「へいへいへい」
「平安時代に天皇を支えたのは藤原氏と呼ばれる一族でして。娘を天皇家に嫁がせ。産まれた子が天皇になると、天皇が成人するまでは摂政として支え。成人すると関白として天皇を支える仕組みを作り上げます。俗に言う摂関政治って言う奴ですね」
「支えるって言えば聞こえは良いが、結局は自分らの思い通りに動かしたいだけだろうが」
「右も左も血縁関係のある藤原氏ばかりだったので。天皇の肩身は狭かったのは事実でしょうね。それに、藤原氏が政務を殆ど握っていたため。藤原氏が政務をボイコットすると何も出来ない状況に陥っていました。……まぁ、これを見ている現在の人が思う政務と大いに隔たりがありますけどね」
「隔たりがあるってどういうことなんだ?」
「平安時代の政務とは主に先例に基づいて行事を行う。言い換えるなら、以前にやったやり方そのままで行事を行うことが何よりも重要視されていました」
「其処まで、先例に従う必要はあるのか?」
「藤原氏を始めとした上流貴族は、行事を滞りなく行うことが面子を保つことに繋がるため。行事を何よりも重要視した結果。行事が政務の第一業務へと変わり。他の政務は二の次、三の次へと追いやられました」
「政務を補助するために行事があんだろうに。本末転倒だな」
「中央が仕事をしないため。地方に赴任した国司もまとも働くことはなく。法外の利息で稲を強引に貸し与え。利息という名目で育った稲の殆どを徴収し。生計を立てれなくなった民は逃亡を始めます」
「中央も地方も腐ってんなぁ」
「まぁ、中央も馬鹿ではありません。地方の惨状を知ると。国司に厳命を与えます」
「真っ当な仕事をしろって、言うんだな」
「いいえ。……地方乱れてんの? マジワロス。地方乱れんのはどうでも良いけど。税だけは確実に送ってこいよ。えっ、今のままだと厳しい? しゃぁないな、国司の権限高めたるわ。今まで郡司に任せてた税の取り立て。国司が代わりにやってええで。税さえ確保できたら。何やってもええからな。これで万事解決や」
「いや、何一つ解決してねぇぞ!」
「こんな感じで、国司の権限が高まると。民から必要以上に税を毟り始め。必然的に、国司を支えていた郡司の立場が弱くなり。国司は郡司を見つめて言います。……あれ、そういえば郡司くんってさ。豪族(地方の有力者)だったよね。ちょっとジャンプしてよ。……もってんじゃん。ってな感じで。部下である、郡司からも身ぐるみを剥がし始めました」
「余計に地方崩壊してんじゃねぇか!」
「また、税の取り立てに逃げた民は。貴族や寺社へと逃げており。荘園(しょうえん)を耕す農奴として人生をやり直します。今で言うところの……国司よ、戻ってきてくれと言ってももう遅い。農奴としてスローライフを送ります。ってな感じですね」
「農奴の時点で、スローライフじゃないよね! 絶対、スローライフじゃないよね!」
「この時代だと、比較的スローライフですよ。余暇と寿命が、ほんのちょっと伸びます。これぐらい」
「ピーナッツも入らないよ! そんな隙間だと!」
「良い突っ込みも頂きましたし。今回はこれぐらいで終わりにしましょうか。次回からは、武士の時代に入りますよ。次回、国司をぶっ飛ばせ。お楽しみに」