「では、第二講座は文明の始まりについて語りますよぉ」
「文明ねぇ。世界にはどんな文明があるんだよ」
「おお、今回は乗り気ですね。では、軽くサクッとお話ししますね。先ずは、メソポタミア文明からお話ししますね。ティグリス川とユーフラテス川の間に生まれた、この文明は、簡潔に言うなら。オーパーツ文明です。いきなり現れ。文字であるくさび形文字を造り上げ。法律の制定や医学の発展。そして、60進法という、時計に用いられている考えを作りました。まぁ、何よりも特筆するのは、太陰暦《たいいんれき》と呼ばれる歴を生み出したことですね」
「太陰暦って何なんだ?」
「陰という名の通り、月を基準にした。歴を測る方法です。月の満ち欠けには法則性がありましてね。新月(月が殆ど見えない状態)から、三日月に変わり。15日目にして満月に至り。そして逆三日月に変わって、新月へと戻っていきます」
1日目 → 3日目 → 15日目 →
○ → → →
26日目 → 30日目(1日目に戻る)
逆 → ○
「ほうほうほう」
「この月の満ち欠けを歴と連動させたのが太陰暦です。夜に月が全く見えなかったら一日目で。三日月に光り輝いていたら三日目。そして満月なら15日目となり、逆三日月になると、もう直ぐこの一ヶ月が終わるんだなぁと分かります」
「おお、月見たら日が分かるなんて便利じゃねぇか」
「ですが、問題もありましてね。太陰暦ですと1年が350日程度の日数になり。1年で約10日ほどズレます。そして、十年経つと三ヶ月もズレ。季節が大幅にズレてしまいます」
「言われてみりゃそうだな」
「これはテストに出ないので覚えなくて良いのですが、この太陰暦の不備を訂正して造られたのが、太陰太陽暦です。1年に10日ズレるのだったら3年に一度、余分な月、閏月《うるうつき》を入れて。帳尻を合わせちゃいましょうという考えですね」
「へぇ、上手く考えられてんだな」
「もっと上手く考えた歴も存在しますよ。……其れが、ナイル川で発展したエジプト文明です。エジプト文明では、太陽暦が生み出されました。エジプト人はシリウスという天体で最も明るい星の動きを観察していたら。シリウスが太陽を追い越した日にナイル川が氾濫することを知り。シリウスの動きから、太陽の周期を把握し。太陽歴を造りました。太陽暦は365日になりますが。実際の1年は365.25日ですので。これでもずれが生じます。そのずれをなくすために、四年に一度、閏日《うるうび》を加えています」
「なるほどなぁ。でも、どうして、エジプトでは、太陰暦を採用しなかったんだ。月の満ち欠けで歴を見た方が楽だろうに」
「採用しなかったのではなく。採用できなかったのですよ。さっき言った通り、エジプトではナイル川の氾濫が決まった月に起こります。太陰暦は便利ですが、ズレが大きく。ナイル川の氾濫の日が分からなくなります。それを防ぐために、太陽暦を造ったのです。因みに、エジプトでは象形文字と言った鳥や動物を象った、可愛い絵文字が使われていました。因みにこんな文字ですよ」
かきかきかき
「あら、可愛い。じゃねぇよ。なに書いてんの」
「さて、突っ込みも頂いたことですし。後は、インダス文明の紹介でもしますかね。インダス文明はインダス川流域で発展したことで、あとは特に(きょうみが)ないですね」
「副音声で興味がないって言ってるよ、心の声が漏れてるよ」
「行ったことはないですが、インダス文明には、モヘンジョダロと呼ばれる遺跡がありまして。色々な噂が後世に出ているのは有名ですね。……変死体が残っていたり。とある学者がこの地には、核兵器が使われた痕があるといって、正確な場所を有耶無耶にして亡くなり。其れに追い打ちをかけるように、インドの古典本に核戦争に近しい記述があるとなって。モヘンジョダロ遺跡は、核兵器によって滅んだ遺跡だと一時は世間を騒がせましたね」
「で、実際はどうなの」
「答えは貴方の中にありますよ。……ただ、モヘンジョダロ遺跡は現地では、死者の丘と言われてます。物騒な名前ですよね。まぁ、核戦争は眉唾物ですが。其れだけ、恐れられている遺跡なのでしょう」
「…………」
「さて、今回は此処までにしましょうか。それでは、次回にお会いしましょう」